2018年の5月1日、photo-3dのメーリングリストに"May, 1: A new era in 3D photography?: Sony multi-terminal era"というメールが投稿されました。multi-terminalを備えたSONYのデジカメを中国から取り寄せたケーブルで直結したところ、完璧に同期するステレオカメラを作ることができたというものです。
SONYのデジカメにはすべてではありませんが"マルチ/マイクロUSB端子"というものがついていて、レリーズケーブルなどをつなぐことができます。純正のケーブル"VMC-MM2"を使うと2台のカメラどうしを接続することができますが、説明のページには「RX0をサブカメラとしてメインカメラと接続し、異なる2つのコンテンツの同時撮影を実現するレリーズケーブル」とあるだけで、対応するカメラリストには一眼レフ/ミラーレス一眼など大振りのカメラしかありませんでした。
先のスレッドをたどっていくと、"マルチ/マイクロUSB端子"を備えたカメラなら何でもつなげられるような感じでした。ちなみに"マルチ/マイクロUSB端子"というのは、一見すると普通のマイクロUSB端子に見えるのですが、信号線が5本から15本に増やされたSONY独自の拡張規格だそうです。となると世上評価の高いコンデジであるCyber-shot RX100シリーズでもいけるのでは、と期待が高まりました。
この夏にステレオクラブ東京の主催で開催された『祝!FinePix Real3D発売10週年記念イベント』で、STEREOeYeの関谷隆司さんに「RX100をつなげている人知りませんか」と伺おうと思っていたところ、まさに関谷さんが"つなげている人"でした。いろいろお話を伺った結果、その時はM3辺りを購入しようと思うに至りました。
ここのところメインで使ってきたキヤノンのPowershot G5 X、この夏たてつづけに壊れたり壊したりし、生産もとっくに終わっているようでしたので、早急に次を考える必要が生じてしまいました。いろいろ考えて、M3より一つ新しいCyber-shot DSC-RX100M4を購入することにしました。RX100シリーズは2012年の初代から始まって、今年出たM7まですべて併売するという変わった販売形態を取っています(M5のみM5Aにリプレース)。ユーザーは仕様と懐具合でどれを買うか選ぶことができます(ちなみにマルチ端子が搭載されているのは、M2以降のモデルです)。M4というのは如何にも半端な位置づけですが、静止画についてはどれをとってもさほど違いがないらしいことと、主に次の理由で選択しました。
仕様:ポップアップファインダーの画素数が増え、収納時に電源を切る/切らないを設定できるようになった(M3は否応なく電源オフ)。
価格:M3との差額が+9千円、M5Aとの差額が-2万5千円、M6以降は高すぎて手が出ず。

左:横並び最短でステレオベースは117mm。風景写真等なら問題ありませんが、やはりやや広すぎます。
右:一部ボディを重ねるとステレオベースは72mmに。画像サイズの調整などの後処理はステレオフォトメーカーにお任せ。
レリーズケーブル
もちろん、SONY純正のレリーズケーブル"VMC-MM2"を使うことができますが、L字型コネクタが少し長く、もう一方のコネクタ形状はストレートタイプで、いささか使い勝手に難があります。冒頭の"中国から取り寄せたケーブル"と思しきものを探してみました。

A:ストレートタイプのマルチ端子の反対側は2.5mm径のステレオジャック。米アマゾンから購入。
B:L字型マルチ端子の反対側は2.5mm径のステレオプラグ。日本のアマゾンで購入。業者の所在地は深圳市でしたが、物は台北から届きました。
C:両端2.5mm径のステレオジャック。日本のアマゾンにもあるが、より安い楽天の業者から購入。
最初に試したA+Bで問題なく動作しましたが、やはりストレートタイプのコネクタは邪魔です。Aのマルチ端子がL字型のものがあれば良いのですが、見つけられませんでした。現在はCの両端にBをつなげたものを使用しています(写真右)。
同期精度
StereoData Maker全盛の頃、CRTモニターを利用した同期精度の検証方法が紹介されていました。身のまわりを探しても、どこにもCRTモニターがない時代になってしまいました。SONYのカメラをつないでステレオ撮影している人の情報をあさっていたところ、Michael Brownさんという方がBarry Aldousさん提唱の方法で同期精度を検証しているページに行き当たりました。レイザーポインターを振り子にして、ステレオ撮影した光跡のズレからタイムラグを計測するという方法です。

左の写真では軌跡の長さは8mm、シャッタースピード1/200(5msec)で撮影していますので、軌跡1mmが5/8msecに対応することになります。右のカメラの軌跡の右端は47mmの位置、左のカメラでは38mmの位置にありますので、ズレは47-38=9mmになります。従ってこの場合、9x5/8=5.6msecのタイムラグが生じていたことになります。
右の写真はタイムラグが全くないケースです(昔、上野の山の土産物屋で買った数百円のレーザーポインターを使っていますので、光跡はいささかぼんやりしています)。
PowerShot G5 XとCyber-shot DSC-RX100M4の同期テストの結果は、次のようになりました。

Michael BrownさんがRX0 II(DSC-RX0M2)で計測した場合の平均タイムラグ0.4msecとRX100M4のテスト結果0.39msecはほぼ一致していますし、PowerShot G5 Xの同期精度は良くないという実経験にも対応した結果になっていると思います。
キャリングケース

左の写真の左側はPowerShot G5 Xの持ち運び用に使っているケースで、元々はSONYのVAIO Type P用に売られていたバッファローのセミハードケースです。当然、今では購入することはできませんので代替品を探していたところ、アマゾンで写真右の"聴診器ケース"なるものを見つけました。ちょっと長く、厚さも少々余分にありますが、片側にネットが張られていますのでカメラががたつくことはありません。アマゾンでは同じ商品が、千円から二千円の範囲で売られています。
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